山の予定が決まったから、登山計画書を作りたいんだけど、何を書いたらいいのかな?。
実際にみんながどんな風に作っているのか気になるよね。今日は登山計画書の書き方について伝えていくね!
登る山やコース、日程、メンバーが決まったら、登山の詳細が決まったら万一に備えて、山行計画書を作成を心がけましょう。当日の行動をできるだけ具体的にまとめた「登山計画書」を作成する事で、スケジューリングに無理がないかを確認する事が出来、安全性が高まります。
1日の行動計画を書き出してみよう。
タイムスケジュールなんだけど、どれくらい細かく書いたらいいのかなぁ・・・
行程が短いシンプルな山でも、登山は何時から歩き始めて何時頃に下山するか、そのために自宅を何時に出発すればよいか。 コースタイムをもと、1日の行動計画をざっくりと立てましょう。
「ざっくりと」 というのが実はポイントだよ。
出来上がった登山計画書と比較してみると、電車が遅延してたり、歩くベースが早かったり遅かったり、眺めのよい場所で長く過ごしたり・・・、予定通りにいかないことは多々あります。 きっちり予定を立ててしまうと、時間通りに進まないことに焦ってしまうことも。決めておくのはスタート時間、山頂到着時間、下山時間のおおまかな目安ぐらいでよいと思います。
スタート時間、 下山時間を考えるときに参考になるのが、ガイドブックや山と高原地図の「歩行時間」。 これは純粋に歩いている時間のみを表して休憩時間などは含めれていません。
休憩を取ったり昼食を食べたり…ということを考えると実際の行動時間は、歩行時間の1.5倍が目安です。 つまり、歩行時間が4時間の山でも、行動時間は6時間、 ゆっくり過ごせば7時間程度になってしまいます。日帰り登山の場合、下山時間は15時前後、遅くとも16時を目安とします。 山では太陽が山の陰に隠れると一気に薄暗くなり、日が暮れると真っ暗になります。怪我とかちょっとした道間違いのトラブルに対処することを考えると、明るい時間のうちに行動が出来る早めの下山が無難です。
そして日照時間の短い秋~冬は1時間前倒し(遅くとも15時下山)で考えると安全です。登山の楽しみは、山の中にいるときだけではなく、どこへ行こうか、どんなルートを歩こうかと考え、下調べを進めてイメージをふくらませていくのも楽しみのひとつ。
頑張って自分で計画した登山を終えた時は、達成感もひとしお。うまくいかなかったことさえ「いい思い出」になりますよ。
下山後の温泉情報や、グルメスポットも沢山調べておきたい!
登山計画書に記載する項目とは?何を書けばいいのか
登山計画書は、安全な登山を実現するために非常に重要な書類です。万が一の事故や遭難の際にも救助活動が迅速に行われるよう、登山のルートや予定、同行者の情報などを詳細に記載します。
登山計画書に記載すべき主な項目は以下の通りです。
1. 基本情報
- 代表者の氏名、年齢、住所、緊急連絡先
- 同行者の人数や構成(友人、家族、子供など)、それぞれの氏名や年齢
- グループ内のリーダーの情報
2. 登山日程と行程
- 登山開始日時と終了予定日時
- 具体的なルートの詳細(入山場所、登山コース、下山場所)
- 立ち寄る予定の山小屋や休憩ポイント
計画に無理がないか、これらはもっとも時間をかけて検討したい項目です。
地図やガイドブック、登山者のレポートを参考にしながら当日の登山コースを具体的にイメージし、山小屋や峠など各ポイントに到着する予定時刻を「時間割」のようにくわしく書き入れてください。
山行計画書を作成する事で、当日の計画概要を参加メンバーに共有できます。
計画書に書く基本情報は「いつ、どこに、 だれと、どんなルートで個人情報は、 自分の連絡先と、 自分に何かあったときに連絡を取れる人(基本的には家族) の連絡先を記載します。 その他、 装備や食糧などの情報も忘れずに!
ザックやジャケットの色を書いておくと、 捜索時に役立ちます。
3. 持ち物や装備品の一覧
- 必要最低限の装備(登山靴、雨具、ヘッドライト、非常食など)
- 安全装備(応急処置キット、GPS、非常用連絡手段など)
- 各人の持ち物リストを添付することも推奨されます。
4. 体力や経験の記録
- 登山経験年数や、過去に登った山の情報
- 体力的な特徴(体調や持病など)
- 登山時の注意事項
5. 緊急時の対応計画
- 怪我や悪天候など、万が一の時の対応策
- 避難経路や救助依頼の具体的手順
- 緊急時に連絡すべき人の情報(例:登山届提出先)
山行計画書を未提出で遭難してしまった場合、救助隊はどこを捜索してよいかわかりません。特にコースが複数ある山の場合、限られた人員と時間の中ですべてのルートをくまなく捜索するのは不可能です。
救助活動のピーク: 多くの救助隊は、遭難から72時間を最も重点的に捜索を行う期間としています。時間の経過とともに生存の可能性が低下するため、72時間以内に発見されることが目標とされます。72時間を経過してしまうと捜索が打ち切られたり、民間の救助団体、ボランティアによる救助活動となりますが人員的な問題や経済的な負担などもあり、現実的ではありません。
遭難した際に警察署や救助隊などの第三者が自分たちの足どりを的確に追えるよう、山行計画書は必ず作成するようにしてください。
これらの項目を丁寧に記載することで、救助隊や捜索機関が迅速に対応できる体制が整います。
エスケープルート
登山コースを決める際には、もしものときのことを想定した対策をあらかじめ立てておくことも重要です。 できれば「エスケープルート」を設定して記載するようにしましょう。エスケープルートとは、時間切れや天候急変、急病人の発生、登山用具のトラブルなどの緊急事態によって、本来のルートを進むことが困難になった場合、退却に使用する代替ルート(逃げ道)のことです。
登山道が複数ある山にはショートカットして下山できるルートがたいてい存在しますから、事前にコースをくまなく調べておき、最も安全で速やかに人里へ下りられるルートの目星をつけておいてください。あらかじめ緊急時の避難ルートを決めておけば、いざなにか起こったときにも慌てる必要がなくなるうえに、万一、救助隊による捜索の必要性が生じた場合に、救助隊が捜索範囲を絞りやすくなります。
計画書にエスケープルートを含めることは、登山者自身や捜索・救助活動に関わる人々にとって多くのメリットをもたらします。
緊急時の安全確保
山頂を目指すだけではなく、安全に下山するためのルートが計画されていれば、状況に応じた適切な判断がしやすくなります。
計画的な行動が可能
エスケープルートを事前に考えておくことで、突発的な行動ではなく、あらかじめシミュレーションされたルートに切り替え、冷静に対処できるようになります。これにより、パニックを避け、冷静に行動する助けとなります。
捜索・救助活動の支援
エスケープルートが計画書に記載されていると、万が一遭難や連絡が途絶えた場合に、捜索隊がルートを推測しやすくなります。標準ルート以外の退避経路を知っていることで、捜索範囲が絞り込まれ、救助活動の迅速化につながります。
グループ内の安心感の向上
複数人で登山を行う際に、メンバー全員がエスケープルートを理解していることで、登山中に安心感が増します。予測できないトラブルが起きた際にも、メンバー全員が同じ方向に避難しやすくなり、道迷いや混乱を避けることができます。
時間と体力の節約
エスケープルートは、無理をして山頂に到達しようとせず、途中で安全なルートに切り替えることで、時間や体力を無駄に消費することを避けられます。体調が悪化する前に避難できるため、体力の消耗を最小限に抑えることが可能です。
事故防止の効果
予測外の事態に備えた退避ルートがあることで、不慮の事故を未然に防ぐことができます。山岳地帯では、道が険しいほど状況が急速に変化するため、迅速な決断が求められます。エスケープルートを計画しておくことで、無理な行動やリスクの高い選択を避け、安全に帰還する可能性が高まります。
登山計画書にエスケープルートを記載することは、登山の安全性を格段に高めます。緊急時に即座に対応できるよう、事前に複数のルートを確認・計画し、正確に記載しておくことが重要です。これにより、登山者自身のリスクマネジメントが向上し、救助活動の支援にもなり、グループ全体の安心感も高まります。
登山計画書の書き方
登山計画書の書き方は、決まったフォーマットがあるわけではないので各自でつくりますが、自治体や警察署によっては、インターネットで提供しているところもあります。。しかし、共通の要素を押さえることで、どの様式でも必要な情報を伝えやすくなります。記載時のポイントを以下に挙げます。
日帰り登山の場合、歩行距離が短いうえに携行すべき装備も少ないため、掲載する項目はそれほど多くありません。見やすくわかりやすいシンプルな計画書にするよう心がけましょう。
登山計画書のひな形はこちらからダウンロード出来ます。
記載の手順は、下記の計画書を参考にしてください。
1. 具体的な情報を記載する
抽象的な表現ではなく、「〇〇登山口から登り、〇〇山頂経由で〇〇下山口へ」など、正確な場所を示すことが大切です。
2. 天候を考慮した予定を組む
天候によって登山計画が変更されることを想定し、悪天候時のプランも用意しておくと安心です。
3. 連絡手段の確認
登山計画書には緊急連絡先を記載しますが、実際に通話可能な電波状況を把握することも大切です。山岳エリアは電波の届かない場所が多いため、電波の有無は事前に登山レポートなどで確認しておくと良いでしょう。
4. 提出用と保存用を用意する
提出用の登山計画書とは別に、自分でも保管できるようにコピーを取っておくと便利です。山行中に情報を確認したり、万が一の場合に備えたりすることができます。
登山計画書は提出用・携帯用・家族に共有用の3部あると安心です。
家族とは 「下山予定日を過ぎても帰らず連絡もない場合は、翌日の朝に警察に連絡をする」 などの取り決めをしておくとよいでしょう。
登山計画書の書き方を把握することで、安全性が大きく向上します。予備の計画書を用意しておくことも、登山者自身のリスク管理の一環として有効です。
※山行計画書は警察署に提出家族にも念のため1通渡しておくこと。不備のない計画書を作成するにはある程度の時間が必要です。出発直前に慌てて作成するのではなく、あらかじめ日程に余裕を持って作成しておきましょう。
やまステ▲登山部員による、実際のココヘリのエピソードがこちらです。
登山計画書を出すメリット
登山計画書を提出するメリットは、何よりも「安全性の向上」と「救助活動の迅速化」にあります。実際の登山で発生するリスクを最小限に抑え、万が一の事態に備えるための予防策としても有効です。
具体的なメリットは以下の通りです。
1. 緊急時の迅速な捜索活動が可能
万が一遭難や迷子、怪我などの事態が発生した際、提出した登山計画書に基づいて捜索範囲を特定することができます。計画書がない場合は広範囲を捜索する必要が生じ、救助までに時間がかかる可能性が高まります。 どの山へ、 どのルートで行ったのか、どんな装備を持っているのか。 計画書は捜索の手がかりになります。
2. 安全な登山の確保
登山計画書の提出は、事前に十分な準備をすることにもつながります。計画書を作成することで、自身の装備や体力、経験に合ったルートを再確認する機会となり、安全意識の向上につながります。
4. 登山事故の防止
登山計画書の提出によって、登山のリスクが低減されます。特に未経験者が挑む場合でも、安全策を練りながら計画を立てることで、事故を防ぐ手助けになります。
3. 家族や友人の安心感
登山計画書を提出することで、家族や友人にも安心を提供できます。帰宅予定時間が確認できるため、家族が無駄な心配をすることなく、必要があれば適切なタイミングで通報も可能です。
登山計画書の提出先とは?
登山計画書を提出する場所は、登山を行う地域や山域によって異なります。一般的な提出先は以下の通りです。
1. 地域の警察署や山岳救助機関
多くの地域では、警察署や山岳救助機関が登山計画書を受け付けています。特に山岳救助隊がある場合は、登山計画書の受付も積極的に行っています。
2.登山口や観光案内所
登山口近くの観光案内所や道の駅、山小屋なども提出先として利用できる場合があります。ここに計画書を提出することで、現地の管理者が登山者の動向を把握しやすくなります。
3. インターネット提出
近年では、自治体や山岳団体がオンラインでの登山計画書提出を受け付けるサービスも増えています。ウェブサイトから簡単に提出できるため、遠方の山でも事前に提出可能です。たとえば、長野県では「ながの電子申請サービス」を通じてインターネットでの提出が可能です。
4. 宿泊施設
山小屋や宿泊施設でも登山計画書の提出を受け付けることがあり、利用者の安全管理の一環としてチェックを行う施設もあります。
提出先に提出することで、登山者の現在地や行動予定が把握され、緊急時の対応が迅速になります。登山計画書の提出先を確認する際は、登山を予定している山域の情報を事前に調べることをおすすめします。
登山計画書を書く目的は何のため?
登山計画書の作成目的は、安全な登山の実現と万が一の事態への備えにあります。登山は美しい自然の中での活動ですが、一方で天候や体調の急変など、リスクを伴う活動でもあります。登山計画書を作成することで、具体的に以下の目的を達成することができます。
1. 安全管理とリスク予防
登山計画書を作成することで、自身の行程や装備品を確認する機会が得られ、リスクに対する予防策を講じることが可能です。計画段階で予測できるリスクを洗い出し、適切な対応方法を用意することは、安全な登山に不可欠です。
2. 救助活動の支援
登山計画書には、登山者がどこにいるか、いつまでに帰宅予定かが詳細に記載されているため、救助活動の迅速化につながります。事前に情報を提供することで、遭難や事故発生時には早期に捜索活動が開始され、救助までの時間が短縮される可能性が高まります。特に山岳地帯は天候が急変しやすく、位置情報がつかみにくいため、登山計画書があれば救助隊がより的確に捜索エリアを絞り込むことができます。
3. 自己管理の向上
登山計画書を記入する過程は、自分自身の体力や技術を再評価し、無理のない計画を立てるための貴重な機会でもあります。特に初めて登る山や難易度の高いルートを計画する際には、事前にしっかりとした計画を練ることで、安全性が向上します。
4. 第三者への情報提供
登山中に何かあった場合、家族や友人、登山パートナーなど、周囲の人々にも迅速に情報を伝えることが可能です。たとえば、予定通りに帰宅しなかった場合、家族が計画書を参考にして適切な対処を取ることができます。
5. 法的な義務を果たす
一部の地域では登山計画書の提出が法的に義務付けられている場合があります。法令を遵守することは、個人の責任であると同時に、地域社会や山岳管理者の安全対策の一環です。義務化されていない地域でも、任意で提出することは推奨されています。
まとめ
山の「もしも」 に備えや、遭難対策として登山計画書の書き方をお伝えしてきました。
低山でも遭難の可能性はある山歩きで遭難のリスクをゼロにすることはできません。 登山道がよく整備された低山でも遭難事故は起きています。年間250万人以上が登る高尾山でも、行方不明となり未だ見つかっていない方がいます。山岳事故は他人事ではありません。どのような山でも「もしも」 に備えるのは大切なことなのです。
そして登山計画書は、単なる書類以上の役割を果たします。登山前に詳細な計画書を作成・提出することで、自分や同行者の安全を確保し、遭難など万が一のリスクにも対応できる体制を整えることができます。
また、家族や救助隊への迅速な情報提供の手段としても非常に有効です。記載する項目や提出先などのポイントを押さえ、正しく記入・提出することが、登山を楽しむための重要なステップです。
登山は時に危険も伴う趣味だから、計画書を出すっていう意識を持つだけでも、気が引き締まるね。
前もって天候や装備、緊急時の対応方法を考えることで、自分がどのようなリスクを抱えているかを事前に知り、準備を整えることができます。結果として、安全な登山を実現するための基盤ができあがります。
めんどくさいかもしれないけど、大切なことだと思うから登山をするなら、しっかりと心がけてほしい。
登山計画書は、ただ安全対策として重要なだけでなく、登山後に自身の登山を振り返るツールとしても役立ちます。計画書を見返すことで、「このルートは安全だったか」「装備は適切だったか」などを検証し、次回の登山に向けた改善点を見つけることができます。経験を積む中で計画書の作成が習慣となれば、登山者としての成長にもつながります。
登山計画書を自分で作る事は、安全な登山を実現するための基本です。楽しいだけではない、時に危険を伴う登山を安全に楽しむためには、「めんどくさい」と思わずに計画書を作成し、提出する習慣を身につけることが大切です。
自分の命を守るため、また家族や仲間を安心させるためにも、登山計画書は欠かすことは出来ません。安全を最優先に、正しい準備をして登山を楽しみましょう。
「登山仲間がほしい!」「登山に詳しい人に教えてもらいたい・・・」
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「関西女子登山部☆やまびとステーション▲▲▲」は、関西を拠点に10~30代の女性メンバーで活動している登山サークルです!
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